切符を拝見します

私は、西風に向かって自転車をこぎ続けた。今年一番の寒波が来ており、西日本は大雪になっているようだが、ここ浜松はほとんど雪は降らない。それでも、「遠州の空っ風」と言われているように強い西風が顔に突き刺さる。

ようやく浜松駅の駐輪場に着く。静岡での午後1時からの打合せに間に合わせるには12時20分の東海道新幹線こだまに遅れずに乗らなければならない。

時計を見ると、12時10分。よし、まだ10分ある。静岡までの回数券はいつも予め用意してあるので切符を買うために並ぶ必要はない。ホームで売られている値段の高い駅弁ではなく、コンコースのお店で500円ぐらいの弁当を買おう。

弁当を買い、改札を抜けてエスカレーターでホームに上がるとちょうど新幹線が東から滑り込んで来た。静岡駅で降りる時にホームのる階段の近くに停まる7号車に乗り込む。弁当を食べて一息つけば静岡だ。今日も分刻みの行動だ。

30分で降りるので、7号車のドアのすぐ近くの席に座り、弁当を食べ始める。新幹線は浜松駅を出発し、程なくして天竜川を渡った。

すると・・・。
「お客さん、切符を拝見します」

「はあ?」
最近、車掌さんが切符を確認するのはめずらしい。それに、普通は、ドアの前で「切符を拝見します」と一礼をして、順番に乗客の席を回ってくるのに、あいさつもなく、いきなり俺か!

「あ、はい」
箸を左手に持ち替え、右手でズボンのポケットから切符を出して車掌に見せる。

「お客さん、ここ、指定席ですよ」

「はあ?」
何を言っているのか一瞬理解できなかったが、そういえば、ホームで「10分遅れで・・・」というアナウンスがあったような気がした・・・。

「これ、もしかして、12時11分のひかり?」

ひかりは静岡にも停まる。静岡での会議でよかった。

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