和歌山訴訟控訴審判決を読め!

af9930029214 本年6月27日に言い渡された所謂和歌山訴訟の最高裁判決は、司法書士法3条1項7号に定める裁判外の和解の代理業務の範囲について、債権者が主張している債権額を基準に考えるべきだと判示した。
上記の判決は司法書士法3条1項7号の解釈についてのみ取り上げ、そのほかに双方が上告受理申立てをした部分については審理の対象にしなかった。そのため、上記の判決の異議としては「債権者主張額説に確定した」という捉え方が一般的であると思われる。

 しかし、双方が上告受理申し立てをしていた部分は広範に及んでいた。ところが、最高裁が「裁判外の和解の代理業務の範囲」のみを審理の対象としたことから、その余の部分は、最高裁が審理の対象としなかった時点で高裁判決が確定していることに注意しなければならない。

 そこで、高裁判決を読んでみると極めて興味深い判断がなされている。特に司法書士の裁判書類作成関係業務(いわゆる本人訴訟支援)とはどのようなものかを明確に定義づけ、その業務の進め方について法律専門職としての善管注意義務を、「司法書士としての説明・助言」、「処理方針」、「引き直し計算の選択」、「過払金の回収額」、「報酬の考え方」等について具体的に説明している。

 判決の中で、当事者となった司法書士が行った裁判書類作成業務(当該業務は弁護士法72条違反と判断されているので「裁判書類作成業務」と言うのは間違っているかもしれないが)について時系列で事実認定している行がある。まずそれを読むと、過払事件の裁判書類作成業務であれば、まあ、このような方法で行っている司法書士が多いだろうな、という印象を抱く方が多いと思われる(判断としては弁護士法72条違反とされているのだが)。

 ところが、その後に出てくる善管注意義務についての判断を読んでからもう一度上記業務の事実経過を読むと、当該司法書士の行った業務がいかに善管注意義務を満たしていないかが浮き彫りになるのである。

 大阪高裁判決は、司法書士を法律専門職と位置づけて高度な善管注意義務を求めている。逆に言えば、それだけ司法書士の職責を重く見ているのであり、そういう意味では司法書士業界では有名な高松高裁判決より一歩前進しているのではなかろうか。

 そういう視点を持って大阪高裁判決を読むと、実に興味深いのである。

だから、「和歌山訴訟控訴審判決を読め!」なのである。