交通事故損害賠償請求権を有する者の破産申立て

交通事故損害賠償請求権を有する者の破産申立て

 多重債務で破産の申立てをしなければとても生活の立て直しができないという状況であるとする。つまり、まだ破産申立てはしていない。その方が交通事故の被害者となって損害賠償債権を有するに至って係争中に、仮に破産申し立てをして破産手続開始決定が出されると、交通事故に基づく損害賠償請求権とその訴訟手続きはどのような取り扱いになるのだろうか。 交通事故に基づく損害賠償請求権と一口に言っても、その内容は、 ①破産手続の中で本来的自由財産となりうる部分、②破産財団に属するが自由財産拡張が問題となる部分に大きく分かれる。

 財産的な損害に基づく損害賠償請求権は破産財団に帰属すべき財産であると言える。しかし、財産的損害のうち休業補償や逸失利益は給与の代替的性格を有しているといえるから、自由財産拡張を認めるべきであろう。また、被害者の治療に直接関係する介護費用や入院雑費も同様に拡張が認められるべきと考える。

 他方,慰謝料請求権は行使上の一身専属権であると考えられるから、金額が確定するまでは破産財団に属せず、破産手続中に金額が確定した場合には破産財団に帰属して自由財産の拡張ができるかどうかという問題となるが、精神的苦痛の填補という趣旨からすれば拡張が認められるのではないかと考える。

 このように、損害賠償請求権について係争中に破産申立てをした場合で、その損害賠償請求権の一部は財産的損害の請求、残りは慰謝料請求権だとしたら、破産手続の開始によりこの訴訟は中断して財産的損害の部分だけ破産管財人が受継することになるのかどうか・・・・・・。考え出すと非常に難しい問題である。

 

お問い合わせも相談予約はこちらからどうぞ!

投稿者プロフィール

古橋 清二
古橋 清二
昭和33年10月生  てんびん座 血液型A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身(途中、上池自動車学校卒業)

昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー浜松ホトニクス(東京一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立
最近、農業にはまってい る (本人は「農業」と言っているが、一般的には「家庭菜園」と呼ばれている)。 耕運機まで所有するなど、道具は一人前だが野菜のできはイマイチ。 本人は、異常気象だとか、土が悪いとか、品種が悪いなどと言って、決して自分の腕が悪いことを認めようとしない。